
サードパーティ Cookie は、一律には廃止されませんでした。Google Chrome は 2024 年 7 月に廃止方針を撤回し、2025 年 4 月には「利用者がブラウザ設定で選ぶ現在の方式を維持する」と発表しています(Google Privacy Sandbox, 2025 年 4 月)。一方で Apple の Safari はサードパーティ Cookie を既定でブロックしており(Apple WebKit, 2020 年 3 月)、アプリでは App Tracking Transparency により、他社のアプリやサイトをまたぐ追跡に本人の許可が必要です(Apple, 2021 年 4 月)。
「廃止された/されていない」の二択ではなく、ブラウザと OS ごとに記録の残り方が違う。これが現在地です。この記事は、指定URLターゲティングを提供する Targety(ターゲティ、提供: Talenty合同会社)の公式解説として、廃止表明から方針転換までの経緯、影響を受けやすい手法と受けにくい手法の切り分け、運用者がいま確認すべきことをまとめます。手法ごとの詳しい影響は各手法の記事に委ねます。
執筆・監修: Targety 運用チーム(Talenty合同会社)|初出 2026 年 8 月 3 日・2026 年 8 月 28 日全面改稿
目次
サードパーティ Cookie 廃止は結局どうなったのか?
答え: Chrome では廃止されず利用者の設定次第、Safari は既定でブロック、アプリは許可制。つまり「Cookie が残るかどうか」を決めるのは広告主ではなく、訪問者のブラウザと本人の設定になったということです。Google は 2025 年 10 月に、代替として開発してきたプライバシーサンドボックスの広告向け技術の多くも終了すると発表しました(Google Privacy Sandbox, 2025 年 10 月)。
Cookie(クッキー)はブラウザに保存される小さな記録で、いま見ているサイト自身が発行するものをファーストパーティ Cookie、広告配信や計測のために別のドメインが発行するものをサードパーティ Cookie と呼びます。サイトをまたいだ追跡を支えてきたのが後者です。
廃止表明から方針転換まで、何が起きたのか(タイムライン)
2020 年 1 月の「2 年以内に廃止」表明から 2025 年 4 月の「現行方式を維持」まで、Chrome の方針は 5 年間で 4 回変わりました。年月はすべて各社の公式発表に基づきます。

2020〜2022 年: 廃止を表明し、2 度延期した
2020 年 1 月、Google は Chromium 公式ブログで「2 年以内にサードパーティ Cookie のサポートを段階的に終了する」と表明しました(Chromium Blog, 2020 年 1 月)。代替案が「プライバシーサンドボックス」です。
ところが 2021 年 6 月、英国の競争・市場庁(CMA)との協議を踏まえ、廃止時期を 2023 年後半へ延期(Google, 2021 年 6 月)。翌 2022 年 7 月には代替技術の検証期間を延ばすとして、2024 年後半へ再延期しました(Google, 2022 年 7 月)。
2024 年 7 月: 廃止そのものを撤回した
2024 年 7 月、Google は「サードパーティ Cookie を廃止する代わりに、利用者が自分で選べる新しい体験を Chrome に導入する」と発表しました(Google Privacy Sandbox, 2024 年 7 月)。3 度目の延期ではなく、廃止という方針そのものの撤回でした。
2025 年 4 月〜10 月: 現行方式を維持し、代替技術も多くを終了
2025 年 4 月には、その「新しい選択画面」も導入せず、利用者が Chrome の「プライバシーとセキュリティ」設定で選ぶ現在の方式を維持すると発表しました(Google Privacy Sandbox, 2025 年 4 月)。さらに 2025 年 10 月には、Topics API や Protected Audience API など広告向け技術の多くを、利用が広がらなかったとして終了すると発表しました(Google Privacy Sandbox, 2025 年 10 月)。
Chrome の外では、もっと前から止まっていた
Apple の Safari は 2020 年 3 月、ITP(Intelligent Tracking Prevention)の更新でサードパーティ Cookie を既定で全面ブロックしました(Apple WebKit, 2020 年 3 月)。アプリでは 2021 年 4 月の iOS 14.5 から App Tracking Transparency が必須になり、他社のアプリやサイトをまたぐ追跡には本人の許可が要るようになりました(Apple, 2021 年 4 月)。
広告運用で影響を受けやすい手法・受けにくい手法は?
答え: 分かれ目は「対象を記録する材料がどこにあるか」です。広告主のサイトに置いたタグとブラウザの Cookie で人を記録する手法は影響を受けやすく、広告媒体が自社サービス内の同意済みデータから推定する手法や、ページの内容・端末の位置を材料にする手法は受けにくい側です。影響の大きさは業種と訪問者のブラウザ構成で変わり、「何割減る」とは言えません。

| 手法 | 対象を記録する材料 | 影響 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| リターゲティング(リマーケティング) | 自社サイトのタグ → ブラウザの Cookie | 受けやすい。記録が残らない人はリストに入らず、母数が目減りしやすい | リマーケティング広告とは |
| サイトをまたぐ計測(別ドメインの Cookie で成果を紐づけるタグ) | 別ドメインの Cookie | 受けやすい。表示後の成果が拾えず、レポート上は成果が少なく見える | GA4 で CV 0 が起きる理由 |
| 行動ターゲティング(従来型) | Cookie・広告識別子で複数サイトを追う | 受けやすい。記録が残りにくい | 行動ターゲティング広告とは |
| 属性・興味関心・指定URL(媒体側の推定) | 検索・YouTube など媒体内の同意済み行動 | 受けにくい。媒体が主に自社サービス上の同意済みデータで推定し、広告主のサイトの Cookie を材料にしない | 指定URLターゲティングとは |
| コンテンツ(文脈)ターゲティング | 広告が出るページの内容 | 受けにくい。人を追跡しない | ターゲティング広告とは |
| 位置情報ターゲティング | 端末の位置(地点+半径、1km 単位) | 受けにくい。人の追跡ではなく範囲の推定 | ターゲティング広告とは |
「受けにくい」は「受けない」ではありません。媒体側で推定する手法でも、成果を数えるのは広告主側の計測だからです。配信は届いていても計測が Cookie 前提のままなら、レポート上は「効いていない」ように見える。切り分けの出発点は、配信側と計測側を分けて考えることです。
運用者がいま確認すべきことは?(チェックリスト)
答え: 確認するのは「計測の見直し」「母数の確認」「上流に足す」の 3 領域です。計測を直してから母数を見る、という順番で進めます。
導入 700 社超(提供元公表値、2026 年 8 月)の運用で最も多い相談が、「設定は何も変えていないのに、リマーケティングの配信量だけが落ちてきた」というものです。訪問者数とリストの人数を並べて初めて、原因が記録側にあると分かる例が少なくありません。

計測の見直し
- CV 計測がサードパーティ Cookie 前提になっていないか: 別ドメインの Cookie で成果を紐づける旧式のタグやピクセルは、Safari では動かず、Chrome でも利用者の設定次第。媒体が推奨するファーストパーティ計測へ移すのが先決です。
- 判断に使う数字を 1 つ決める: 媒体の管理画面・GA4・自社の申込データは計測方式が違うため一致しません。合わない理由は「GA4 で CV 0 が起きる理由」で整理しています。
- 同意の取り方を確認する: 同意バナーで「拒否」を選んだ訪問者は、計測にもリストにも入りません。拒否された場合に何が数えられないかを把握しておきます。
母数の確認
- リストの人数と訪問者数を並べる: リストサイズと訪問者数を月ごとに並べます。訪問者が横ばいなのにリストだけ小さいなら、記録側の問題。
- 訪問者のブラウザ・OS 構成を見る: Safari や iOS の比率が高い顧客層ほど、記録が残りにくい人が多いことになります。「自社の顧客はどちら寄りか」を押さえておけば、影響の出方を先読みできる。
- 設定を変えていない期間で配信量を見る: 設定を触った直後の変動と混ぜると原因が見えなくなるため、「設定変更なし」の期間だけを切り出します。
上流に足す
- 自社のタグに依存しない手法を上流に置く: リストの母数は「自社サイトに来た人」が上限で、計測を直しても上限は上がりません。媒体側の推定・文脈・位置など、自社の Cookie を材料にしない手法で、来る前の層に接点を作ります。
- 上流で来た人が下流のリストに入ることを確認する: リマーケティングのタグがあれば、上流で来た訪問者はそのままリストに入ります。上流を足せば下流も太る、という順番です。
指定URLターゲティングは、この整理のどこに入るのか?
答え: 「上流に足す」側の、媒体側の推定に分類される手法です。見込み客がよく見る URL(競合の料金ページや業界の比較サイトなど)を登録すると、Google 広告がその URL に関心の高い層(その URL を訪れた人と、行動・関心が近いと推定されたユーザー)を組成し、その層が別のサイトやアプリ、YouTube を見ているときに広告を出します。広告主のサイトに置いた Cookie でリストを作る仕組みではないため、ブラウザの Cookie 制限に依存しにくい側です。
Targety では、この Google 広告の公式機能を土台に、独自の仕組みで購買意向の強い層へ配信を寄せています。同じ URL を指定しても、誰に寄せるかで結果は変わります。
ただし対象はあくまで推定で、精度は保証されません。指定した URL の訪問者本人だけに出す機能もない。配信が Cookie に依存しにくくても計測は広告主側の実装に左右されるため、前章の「計測の見直し」は同じように必要です。定義と向く企業は「指定URLターゲティングとは」、データの流れは「競合サイトの訪問者に広告を出す仕組み」で図解しています。
Cookie 規制後に「上流」を足した企業の結果
Targety を導入した企業の公表結果を 3 件挙げます(いずれも提供元公表値。各社の環境での結果で、同じ成果を保証するものではありません)。
不動産業界向け住宅ローン SaaS: 資料請求・問い合わせ 115% 増
工務店・不動産会社向けの業務ソフト紹介サイトや住宅ローン関連の記事など、住宅ローン業務に悩む層が集まる URL を指定し、その層に絞って配信した例です。詳細は導入事例ページをご覧ください。
横浜市郊外の町中華: SNS 来訪者 180% 増
近隣の大手チェーン飲食店の Web 予約ページを指定し、店舗を中心とした半径で配信を絞りました。遷移先は公式 Instagram で、予約とアルバイト募集の受け皿にしています。詳細は導入事例ページをご覧ください。
全国展開のフィットネス企業: 体験入会数 120〜140% 増
競合スタジオの料金ページやレッスン案内、口コミサイトを指定し、店舗ごとにエリアを設定。自社サイト訪問者へのリターゲティングも併用した、前章 8 番目の組み方そのままの例です。詳細は導入事例ページに、ほかの業種は導入事例一覧にまとめています。
よくあるご質問
Q. サードパーティ Cookie は廃止されたのですか?
Chrome では廃止されていません。Google は 2024 年 7 月に廃止方針を撤回し、2025 年 4 月に「利用者が設定で選ぶ現在の方式を維持する」と発表しました。一方、Apple の Safari はサードパーティ Cookie を既定でブロックしています。ブラウザごとに扱いが違う、というのが現在の状態です。
Q. Chrome で Cookie が残ったのなら、リターゲティングは今までどおり使えますか?
使えますが、リストの母数は目減りしやすい状態です。Safari では記録が残りにくく、Chrome でも利用者が設定で無効にでき、シークレットモードでは既定でブロックされます。訪問者数とリストの人数を並べて、差が開いていないかを確認するのが最初の一手です。
Q. ファーストパーティ Cookie も制限されますか?
ブラウザによります。Safari は、スクリプトで付与されたファーストパーティ Cookie の保持期間にも制限をかけています(Apple WebKit「Tracking Prevention in WebKit」)。「自社ドメインの Cookie なら影響がない」とは言い切れないため、計測の実装方式を媒体の推奨に合わせて確認してください。
Q. Cookie の代替として開発されていたプライバシーサンドボックスの技術はどうなりましたか?
Google は 2025 年 10 月に、Topics API・Protected Audience API・Attribution Reporting API など広告向け技術の多くを、利用が広がらなかったことを理由に終了すると発表しました。「Cookie の代わりにこの技術へ移る」という前提で計画を立てている場合は、見直しが必要です。
Q. 指定URLターゲティングは Cookie 規制の影響をまったく受けませんか?
「受けにくい」であって「受けない」ではありません。配信対象は Google 広告が媒体内の同意済みデータから推定するため、ブラウザの Cookie 制限に依存しにくい仕組みです。ただし対象は推定で精度は保証されず、成果を数える計測は広告主側の実装に左右されます。
仕組み・料金体系・導入の流れをまとめた資料を用意しています。