
Web 広告の競合分析は、①検索結果の広告枠から本当の競合を抜き出す、②ツールで流入経路と長く出稿されている広告を調べる、③比較表で自社が勝てる点を 1 つに絞る、④広告文とキーワードに反映する、の 4 手順で進めます。広告文を書き換えて入稿するところまで行って初めて分析は成果になり、月 1 回の定点観測で更新し続けるものです。
この記事は、指定URLターゲティングを提供する Targety(ターゲティ、提供: Talenty合同会社)の公式解説です。4 手順、見る指標、ツール 5 種、Cookie 規制後の変化、競合 URL を配信設定にそのまま使う方法までを、運用チームの視点を交えて説明します。
執筆・監修: Targety 運用チーム(Talenty合同会社)|初出 2026 年 8 月・2026 年 8 月改稿
目次
なぜ Web 広告で競合分析が必要なのか?
答え: リスティング広告はオークション制で、同じキーワードに同じ訴求で入札している限り、予算の大きい競合に押し切られるからです。競合が長く出し続けている広告を「テストを通過した訴求」として読み、自社の強みを上乗せするほうが、ゼロからテストするより安く早い。
競合分析が必要な理由
リスティング広告はオークション形式で、同じキーワードを狙う競合が増えるほどクリック単価(CPC)は上がります。同じコピーで同じキーワードに入札しているだけでは、資本力のある競合に押し切られる構造です。一方、競合が長期間出稿し続けている広告は、テストを経て勝ち残った「成功事例」と読める。そこに自社の強みを上乗せしてぶつけるほうが、テスト費用と時間を節約できます。
競合分析で得られる 2 つのメリット
- 競合が手薄な「お宝キーワード」の発見: 主要キーワードは競合が集中して単価が上がりやすい一方、競合が見落としているニッチなキーワードやロングテールには、安価に出稿できる余地が残っています。競合分析は、その「空白地帯」を見つける作業でもある。
- 反応率の高い広告デザイン・コピーの傾向把握: 競合が継続的に使っているバナーや広告文は、市場で反応されている可能性が高い。傾向をつかめば改善仮説が立てやすくなり、CPA(顧客獲得単価)の改善につながります。
競合分析の 4 つの手順はどう進めるのか?
答え: 「本当の競合を抜き出す → ツールで数字と勝ち広告を調べる → 比較表で勝てる点を絞る → 広告文とキーワードに落とす」の順です。「なんとなく競合のサイトを見る」だけでは成果につながらず、各手順に判断基準を置くのが要点になります。

【ステップ 1】検索結果と広告枠から「本当の競合」を抜き出す
最初に行うのは、自社が本当に競い合っている相手を見きわめることです。「商品が似ているか」だけで判断すると、実際の広告の戦場で戦っている相手を見落とす。自社が狙うキーワードを実際に検索し、広告枠(上部および下部)に常に表示されているサイトを 3〜5 社リストアップします。判断基準は「広告枠を継続的に押さえているか」で、枠を維持しているサイトはそれだけの予算と戦略的な意図を持っています。
運用チームで指定 URL の相談を受けると、担当者が最初に挙げる「競合」と、実際に広告枠に並んでいる相手が一致しないことは珍しくありません。社名で知っている相手より、枠を押さえている相手が分析の対象になる。
【ステップ 2】ツールでアクセス数と「売れている広告」を調べる
競合を絞ったら、ツールで定量的に分析します。SimilarWeb や Semrush を使うと、競合サイトの月間推定訪問者数や、どのチャネル(検索・SNS・直接流入など)から流入しているかが分かる。調べ方と推定値の読み方は「他社サイトのアクセス数を調べる方法」で説明しています。注目したいのは「数ヶ月以上継続して出稿されている広告」です。長く続いている広告は市場での反応が確認された「勝ち広告」の可能性が高く、その訴求軸(価格、品質、悩み解決など)が次のステップの土台になります。
【ステップ 3】比較表を作り「自社が勝てるポイント」を可視化する
競合の情報が集まったら、比較表で自社と並べます。頭の中だけで比較すると主観が入りやすい。縦軸に「価格」「特典・保証」「実績・権威性」「納期・対応速度」「サポート体制」、横軸に「競合 A・競合 B・競合 C・自社」を置いた表を作り、競合がまだ言っていない、あるいはユーザーがまだ満足していない「自社だけの強み」を 1 つに絞り込むことが目標です。その強みが、広告の中心的な訴求軸になる。
【ステップ 4】分析結果を「広告文」と「キーワード」に落とし込む
分析は、広告の改善に直結して初めて価値を持ちます。競合が「安さ」を前面に打ち出しているなら、自社は「専門性」や「安心感」を訴求するなど、競合の弱点を突く切り口でコピーを作り、速やかに入稿して効果を検証してください。月 1 回はツールで広告の出し分け状況を定点観測する習慣も必要です。市場環境は変わり続けるので、一度の分析で満足しないことが長期的な成果につながる。
分析を「成果」に変える 3 つの運用ルール
- 「後出しジャンケン」で勝つ: 競合が長期間出し続けている広告を「正解」とみなし、そこにさらに魅力的なオファー(価格・特典・保証)を乗せてぶつける。先行者の失敗と成功から学ぶ、現実的な競争戦略です。
- 「競合の裏」をかく: 同じ土俵で正面から戦い続けると消耗戦になります。競合が狙わない深い悩みのキーワードを拾う、競合が対応しきれていないユーザーの不安に寄り添う訴求を行うなど、「どこで戦うか」を選ぶことが、資本力に関わらず成果を出す鍵になる。
- 分析・実行・改善のループを回す: 競合も常に自社を分析し、戦略を更新しています。月 1 回はツールの数値を確認し、自社が優位に立てるポジションを微調整し続けてください。
競合分析でチェックすべき 4 つの指標
見るのは「出稿キーワード」「広告クリエイティブ」「遷移先 LP」「推定ターゲット属性」の 4 つです。この軸を先に決めておくと、分析に一貫性と再現性が生まれる。
- 出稿キーワード: 競合がどのキーワードに広告費をかけているか。成約に近い「購入意図の高いキーワード」に集中しているか、認知目的の「情報収集系キーワード」にも出しているかで、競合の戦略フェーズが見えます。
- 広告クリエイティブ: バナーのデザイン傾向、コピーの訴求軸(価格・品質・悩み解決など)、動画広告の構成。長期間変わらないクリエイティブは、反応率が高い「勝ちクリエイティブ」と判断できる。
- 遷移先 LP(ランディングページ): 広告をクリックした先の LP の構成・デザイン・CV ポイント(資料請求・購入・問い合わせなど)。何が強調されているかが、自社 LP の改善ヒントになります。
- 推定ターゲット属性: クリエイティブや LP のトーン・ビジュアル・言葉遣いから、対象としている年齢層・性別・地域・デバイスを推測します。競合が届いていない層が、自社の差別化ポイントになることがある。
競合分析を効率化するツール 5 選
有料の総合ツール 2 つ(Semrush・SimilarWeb)と、無料で使える公式機能 3 つ(Google 広告オークション分析・Meta 広告ライブラリ・キーワードプランナー)を、目的に応じて組み合わせます。まず無料の 3 つで直接競り合う相手と使われている訴求を押さえ、足りない部分を有料ツールで補うのが現実的な順番です。
Semrush(セムラッシュ)
有料・自然検索キーワードから広告コピーまでを網羅的に可視化できる多機能な競合分析ツールです。
メリット: 競合が「どのキーワードにいくら広告費を払っているか」まで推定できる。
注意点: 多機能ゆえに学習コストが高く、月額費用も比較的高め。無料トライアルで用途に合うか確かめたい。
SimilarWeb(シミラーウェブ)
競合サイトの推定アクセス数や流入チャネルの内訳を把握できるツールです。
メリット: サイト全体の集客構造(SNS からか、検索からか)を視覚的に理解できる。
注意点: 無料版はデータ量に制限があり、訪問者数の少ない小規模サイトは反映されにくい。
Google 広告オークション分析
Google 広告の管理画面内で、同じオークションに参加している競合の表示シェアやページ最上部率を確認できる機能です。
メリット: 「直接競り合っている相手」との差を、追加費用なしで把握できる。
注意点: 自社が出稿しているキーワードのデータしか見られない。
Meta 広告ライブラリ
Facebook や Instagram で配信中の他社クリエイティブを閲覧できる公式ツールです。
メリット: 誰でも無料で、競合の最新バナー・動画・広告文を確認できる。
注意点: 終了した広告は遡りにくく、クリック率などの数値は見られない。
キーワードプランナー
キーワードの競合性や推定入札単価を調べ、予算配分の参考にする Google 公式ツールです。
メリット: 公式データに基づく検索ボリュームと費用の目安を無料で調べられる。
注意点: 予測値のため実際の結果とはずれる。詳細データは出稿中のアカウントでのみ表示される。
Cookie 規制で競合分析はどう変わるのか?
答え: サードパーティ Cookie に頼った行動追跡が Safari の ITP などで制限され、競合ユーザーの行動を Cookie ベースで読む手法は、以前より精度が落ちています。これからの競合分析は「集めて終わり」ではなく、集めた競合 URL を配信対象の設定に直接使う方向へ変わる。
サードパーティ Cookie 規制(ITP)が分析に及ぼす限界
Apple の Safari は、サードパーティ Cookie を標準でブロックする ITP(Intelligent Tracking Prevention)を実装しており、iPhone では Cookie を使ったユーザー追跡が大きく制限されています。Cookie に依存したリターゲティングリストや行動追跡は精度が下がり、競合ユーザーの流入経路や行動パターンも以前ほど読めない。加えて 2022 年施行の改正個人情報保護法で、Cookie などを第三者へ提供する際にはケースによって同意取得や説明が求められ、法律面のハードルも上がりました。
サードパーティ Cookie に依存しにくい「指定URLターゲティング」とは
Cookie 規制の進展に伴って注目されているのが「指定URLターゲティング」です。競合サイトや比較サイトなど指定した URL に関心の高い層(その URL を訪れた人と、行動・関心が近いと推定される類似ユーザー)に、別のサイトやアプリ、YouTube を見ているときに広告を出す手法で、対象の推定は Google 側の同意済みデータに基づくため、サードパーティ Cookie の動向に依存しにくい。
従来の競合分析は「競合がどこに広告を出しているか」「競合の LP はどういう構成か」という情報収集が中心でした。指定URLターゲティングでは、分析で抜き出した競合 URL を、そのまま広告配信の対象設定に使えます。分析と配信が地続きになる点が、Cookie 規制後の競合対策として有効な理由です。入札競争から抜けて優位性を作る考え方は「Web広告で競争優位性を確立する方法」で整理しています。
分析した競合 URL をそのまま配信設定に使うには?
Targety なら、競合分析で抜き出した競合サイト・比較サイト・業界メディアの URL を管理画面に登録するだけで、その URL に関心の高い層(訪問者と類似ユーザー)に広告を配信できます。検索広告の手前にいる、まだ自社名で検索していない比較検討層を埋める手法です。
Google 広告の公式機能を土台に、独自の仕組みで購買意向の強い層へ配信を寄せています。同じ URL を指定しても、誰に寄せるかで結果は変わります。対象は推定に基づくため精度は保証されず、訪問者本人だけに限定する機能もありません。データの流れは「競合サイトの訪問者に広告を出す仕組み」で図解しています。
見出し・説明文・画像・ロゴを入稿すると最大 750 通りのバナーが自動生成されるので、クリエイティブ制作の工数を抑えて PDCA を回せる。BtoB の例では、クラウド POS レジの提供企業がデモ申し込み・アカウント開設数 130% 増を公表しています(提供元公表値。各社の環境での結果で、同じ成果を保証するものではありません)。フレームワークを含めた手順全体は「競合分析のやり方ガイド」にまとめています。
よくあるご質問
Q. 競合分析はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
月 1 回の定点観測が目安です。競合の広告の出し分け、新しい訴求、広告枠の入れ替わりをツールで確認し、比較表と広告文を更新します。一度の分析で終えると、数ヶ月で前提が古くなるためです。
Q. 無料で使える競合分析ツールはありますか?
あります。Google 広告のオークション分析(同じオークションにいる競合の表示シェア)、Meta 広告ライブラリ(配信中のクリエイティブ)、キーワードプランナー(検索ボリュームと入札単価の目安)の 3 つは無料です。出稿していないキーワードや過去の広告は追いにくいため、必要に応じて Semrush や SimilarWeb で補います。
Q. 競合が広告にいくら使っているかは分かりますか?
正確には分かりません。Semrush などのツールが示す広告費は推定値で、実際の支出とはずれがあります。金額そのものより「どのキーワードに継続して出しているか」「どの訴求が長く残っているか」を読むほうが、次の施策に使えます。
Q. 分析で見つけた競合サイトの URL は、広告配信にどう使えますか?
指定URLターゲティングの対象として登録するのが、いちばん直接的な使い方です。Targety では、競合サイトや比較サイトの URL を管理画面に登録すると、その URL に関心の高い層(訪問者と類似ユーザー)に広告が配信されます。対象は推定に基づくもので、訪問者本人だけに限定する機能はありません。
仕組み・料金体系・導入の流れをまとめた資料を用意しています。